2022-01-27 |
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俳句
俳句のアドベントカレンダー 2021
わたむしのふとわたしよりうまれゐづ
きしめんの幅ばらばらや冬麗
冬の日へ前髪のあるバレエダンサー
凍星をとほさぬやうに薬瓶
水槽の中ゆつくりと落葉かな
時雨るるやウルフの日記読みかへす
かはうそは睦びて光る冬の水
ほんたうとばかり言ふ癖冬の虹
石蕗の花姉のやうなる知己の増え
王さまに飼はれていたる通し鮎
ポインセチア歩いてゆける喫茶店
ほんたうは滅びたる国十二月
言ひ出しのこゑのつかへて冬木立
極月の入れ子に仕舞ふ食器かな
蝦蛄葉仙人掌空気の満ちてゐる人形
書き割りのごと寒菊とすれ違ふ
カピバラの指に水かき暮早し
冬ざれてスープカレーの漣す
思ひつくもの飾られし聖樹かな
ネタバレはしない約束冬の暮
日向ぼこ手にやはらかきインド綿
溶けのこる砂糖ざらりと冬菫
冬ばらのごと母斑ある腕かな
クリスマスイヴ即ち夫の誕生日
結末を知りて観る劇クリスマス
2021年12月1日から25日のクリスマスまで、毎日1句Twitterで俳句をつぶやく「俳句のアドベントカレンダー」を行いました。
「俳句のアドベントカレンダー」は、一緒にネプリ「はるのもりばん」を作っている、箱森裕美さんが提案された企画です!
最初は毎日できるかな?とも思いましたが、同じハッシュタグでつぶやかれてるみなさんの句を読むことが楽しくて、あっという間に過ぎていきました。
Twitterでは「#俳句のアドベントカレンダー」「#俳句のアドベントカレンダー2021」のタグと、携帯で撮った画像を添えていました(一部、著作権フリーの画像も使用。わたしはピクサベイをよく利用しています)。
気がついたら手元に25句ある…というのも、なかなかすごくて、 また来年もやってみたいです。読んでくださっていたかた、どうもありがとうございました!
2022-01-21 |
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書評
楠本奇蹄さんの『おしやべり』は、第11回百年俳句賞最優秀賞を受賞した同タイトルの連作50句をまとめたミニ句集。賞の主催社が発行する雑誌「100年俳句計画」2022年1月号の付録として付いてくるものを手にいれました(現在、残念ですが品切れになっているようです…)。
奇蹄さんは句集で作品が読みたいと個人的に思っている俳句作家さんのひとりで、本というかたちで読めたことがうれしいです。また、第12回北斗賞の准賞を受賞されたことも記憶にあたらしく、また句集を手にできるのもそう遠いことではないかも…?と思っています。本当におめでとうございます!!!
本作は連作であり、隣りあう句のつながりも素晴らしいので、そこから取りだすのもどうなのとか、そもそも全部すきなので…という気持ちもありますが、特にすきな5句と稚拙ですが感想です。
聖五月ひつじにひかりひとつずつ
光あふれる初夏、しろい羊の群れがある。季語から神の子羊イエス・キリストや、「いけにえ」というイメージも導きだされ、光があるから生まれる翳りにも惹かれる一句。ひつじが自分も含め人間たちに思えてくる
脱いだ服ほどのはつねつ夏座敷
虹がはじまる家々をぬけがらにして
隣りあっている二句。「脱いだ服ほど」という比喩にまず惹かれ、開かれた「はつねつ」の軽やかさに夏座敷の重みという対比にどきりとする。脱いだ服とぬけがらの、つながりがあるようなイメージもすきで、古めかしい家々から飛びだしていったような物語性も感じる
小春日は梯子の翳の逃げたい日
冬の季語のなかではあかるい印象で、個人的に使いがちな季語「小春日」。でも、この後ろめたいような気持ち、なんだか「わかる」となる
白鳥は来ぬ虹彩の草臥れに
奇蹄さんの句には、季語(掲句だと白鳥という動物)と身体の境目がないような印象をいだくことが多いが、こちらもそう思った。「草臥れ」(くたびれ)という表記には、疲れたという意味以外にも、視覚的に訴えてくるものがある。目ではなく、虹彩という部分を取りだしている点もすき
2022-01-18 |
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俳句
(2021.7発表)
短夜や奈落に落ちしままの釦
夏負けて獣の首の伸びにけり
朝ぐもり自動二輪車通り過ぐ
旱星抱擁のごと決闘す
きざはしは星祭へとつながれり
2021年はたくさん俳句をつくった年でした。そのなかでも、Twitterのみで発表していた連作がいくつかあるので、季節はずれだったり今さら感もありますが、ブログでも記録しておきたいと思います。
まずは昨年7月に発表した「少女☆歌劇 レヴュースタァライト」の二次創作俳句「きざはし」(連作五句)です。
「少女☆歌劇 レヴュースタァライト」はミュージカルとアニメがお互いリンクしているという作品。演劇を学ぶ学校に通う生徒たちが、舞台のトップスタァを目指すという物語です(あまりにざっくりとした説明ですが…)。
「いいよ!」という友だちの影響で観てはまったのは、ミュージカルを原作とした全12話のアニメシリーズでした。上記の連作はアニメ版をイメージして作っています!
もともと宝塚やウテナが好きなため、ハマる要素はあったかも…と思いつつ、何かをがんばっているかた、言葉で括ってしまいたくない大きな感情がすきなかたにぜひ観ていただきたいシリーズです。わたしは俳句をたくさん作らないといけないときなど、スタァライトの楽曲を聴いて自分を鼓舞しています。
今年のはじめ、アニメの続編とスピンオフ、ふたつのミュージカルが視聴できる機会があったのですが、舞台版もすごーくよかったです。新しく登場したかたがたもみんな魅力的! とはいえ、いまだに劇場版が観られていないので、早急に観たいと思っています。
リンク
2022-01-15 |
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俳句
本日1月15日(土)、俳句ネプリ「はるのもりばん」2号を発行いたしました!各コンビニにあるプリントサービス機に、上記画像内の予約番号を入力してください。本日より22日(土)中までの期間限定で印刷していただけます。
2号では「ホラー」をテーマに下記タイトルの俳句連作5句を発表しています。
「寄生性桃源郷」 春野温
「るるるゐる」 箱森裕美
「うづ」 ばんかおり
…タイトルを読んだだけでゾクゾクしてきませんか? メンバー一同、あまり馴染みのないお題に挑戦してみました。1号とはまたがらりと違った世界を楽しんでいただけると思います!
デザインは堀口文庫メンバーの堀口ともひと(design ib)です。今回はどんな見せ方がいいかな?ということも試行錯誤しました。
ちなみに、わたしはホラーが苦手なほうでして、映画などの動画はほとんど観られません…。それでも唯一読むことができるのが漫画で、その中でも特にすきな伊藤潤二先生の作品からイメージして今回の連作を作りました(タイトルからバレバレですね…)。
「はるのもりばん」は毎号テーマカラーを決め、そのカラー1色を使いデザインしています。今回は「紫」。プリントサービス機の設定ではカラー・白黒、どちらでも選択可能です。 作品の世界観を味わえるカラー、お手軽に楽しめる白黒、ぜひお好みでお選びください!
ぜひぜひ、ご感想など #はるのもりばん のタグをつけSNS等でいただけますと嬉しいです!
◆「はるのもりばん」については、ぜひこちらの記事もお読みください! 1号のPDFデータがダウンロードできます
2022-01-12 |
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俳句
2021年11月に発行しました、俳句ネットプリント「はるのもりばん」第1号をこのたびPDFデータにて公開いたします。
「はるのもりばん」は ” しなやかに、かろやかに、自由に ” をモットーに、春野温さん(Twitter)、箱森裕美さん(Twitter、Website)と一緒に作品を発表する場所としてスタートしました。
裕美さんが付けてくれた、3人の名前から取ったタイトルがとても気にいっています。めちゃくちゃかわいくないですか…? 第1号では、そのタイトルをテーマに連作5句を掲載。「はる」を裕美さん、「もり」をわたくし、「ばん」を温さんが担当しています(あみだくじで決めました)。ちなみに、堀口文庫メンバーである堀口ともひとがデザインを、似顔絵はばんかおりが描きました。
たくさんの方にプリントをしていただき、感想のお言葉をTwitter等でいただきました。本当にありがとうございました!
さて、今後も活動をつづけていく「はるのもりばん」ですが、1月15日(土)には「ホラー」をテーマにした第2号を発行します! メンバーそれぞれ、あまり馴染みのなかったお題に試行錯誤しました。ほんとうに怖いと思うので……皆さまどうぞご期待くださいませ。
その前に、さいきん知っていただいた方や気になっていた方など、多くの方に第1号を読んでいただければと思い、データにて公開することにいたしました。こちらを読みながら、第2号を楽しみにお待ちいただけたらうれしいです!
◆「はるのもりばん」第1号PDFデータ:こちらよりダウンロードしてください
2021-12-09 |
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俳句
久しぶりの更新になりますが、また俳句に関するお知らせです。12月もどんどん過ぎていってしまいますねぇ…。
このたび、短歌・俳句・自由詩の「三詩型交流企画」を行うwebマガジン「詩客」12月4日号にて、俳句作品「いらつしやい」を掲載していただきました。ほぼ新作(1句のみ既発表)で構成しました、連作10句です。
小春日に告解室のごと遊具 他9句、作品はこちらよりどうぞ。お読みいただけるとうれしいです! ご感想などもぜひ教えてくださいませ。
ありがたいことに、俳人の松本てふこさんに声をかけていただきました。こうやって寄稿をさせてもらうことは、初めてのことなのでとてもうれしかったです。もちろん、緊張もありましたが…! てふこさん、本当にありがとうございました。
2021-10-02 |
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俳句
「俳句のある生活」を提案する雑誌の発行などを行う、マルコボ. コムさんが開催する「百年俳句賞」にこのたび応募しました。
こちらの賞のすごいところ、おそらく他の賞と大きく違うところは、選考前に全応募作品がホームページで公開されることです。 わたしは賞への応募じたいが初めてだったのですが、公開がスタートされてからこのすごさに気がつきました…!
全応募作品公開ページはこちら
ばんかおり応募作品「準備室」公開ページはこちら
50句の連作が91作品ということで、ボリュームもすごいです。俳句の友だちや結社の先輩など、お見かけしたことのあるお名前がたくさんありぶるっと身震いしましたが、こうやって開かれた場所で作品を読んでいただけること、また自分も読者として読めることってなかなかない機会では?と思っています。お祭りみたいなわくわく感もありますよね。
それでも正直どきどきしていたところ、Twitterのフォロワーさんにご感想をいただき感激しました。これも公開だからこそですね…とても励みになります。応募作品の公開は10月末までとのこと。ぜひお読みいただけるとうれしいです!
そもそも挑戦したいと思えたのは賞に挑戦している友だちの影響であり、句会などで自分の句を読んでもらえたおかげで、句歴の浅いわたしでも連作を組むことができたのだと思いました。いつもありがとうございます! 結果はさておき、応募できただけでもかなりの達成感をあじわっています。
2021-09-29 |
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俳句
俳句のための文具ブラント、句具さんが発行する「句具ネプリ秋 2021 vol.03」にこのたび参加しました!
季節の変わりめに発行されるこちらのネプリ、参加させていただくのも3回めとなります。すてきな文具の提案だけでなく、どなたでも参加しやすいこういった楽しい企画や句会など、俳句の魅力を軽やかに広げていっている句具さん。いつも、すごいな〜!と思っています。
今号は前号より多い、148句が集まったとのこと! たくさんのすきな句がありましたが、特にすきだった句をあげていきますね(敬称略・掲載順)。
うつかりと星座にされかけるきのこ 土井探花
「されかける」がたまらなくかわいいです。まだ完全には星座になっていないのですね。いろんな生きものがゼウスにより星座にされてしまう、そんな神話を思いおこしました。
向日葵の枯れきつたるが眼をひらく 犬星星人
溌剌と明るい印象の反面、向日葵ってなんだか怖くないですか。特に中央とか…(宮本佳世乃さんの《ひまはりのこはいところを切り捨てる》が思いだされたり)。写生ってよく見ることだと思うんですが、掲句はよく見ているうちに、ふっと現実から非現実の域に足を踏み入れてしまった。マジックリアリズム的魅力のある一句だと思います。
水平線まで香りさう島の柚子 このはる紗耶
なんて大きくて気持ちの良い景! 島の柚子だから、すこし野性味などがあるのでしょうか。爽やかな香りが漂ってきそうです。
林檎かもしれず言霊かもしれず 中村想吉
一読して、納得感が強い句だと思いました。つやつやに磨かれた林檎を思い浮かべ、もしかしたら言霊かもしれないと思えてくるから不思議。「かもしれず」のリフレインがいいです。
金木犀夢に会ひたる人に会ふ 箱森裕美
「夢に会ひたる人に会ふ」こと、ありますよね。夢の内容までは書かれていないですが、金木犀との取合わせから、なにか心弾むことであると想像します。ふいに来る香りが背中を押してくれる気も。ちなみに先日Twitterのスペースで、ネプリの好きな句を話し合おうという会に参加しましたが、掲句について松本てふこさんが「推しに会いにいくのだと思う」と言われていたのが面白かったです!
眞子さまのことが心配白芙蓉 千野千佳
今号でいちばん話題になっている句では…?シンプルな言葉に、心底はっとさせられます。すでに多くのかたが言われていますが、やわらかくやさしい印象の白芙蓉との取合わせがいいです。
振り向くとき小鳥は僕の死ねない眼 楠本奇蹄
袋回しなどでご一緒している奇蹄さんの句を読むと、いつも「これが詩なんだ」と眼がひらかれる思いがします。自分はまだどこか、詩をわかっていないんじゃないか、という気持ちがあるので…(ぜんぜん感想になっていなくてごめんなさい)。
台風のほぐれて雨の強と弱 西川火尖
台風が熱帯低気圧になるなどして力が弱まってきたことを、「ほぐれて」と表現したところに発見があってすごいなぁと思います。そして、地域によって雨の強いところと弱いところがあるというのも納得。
靴を買うだけの休日秋夕焼 ノグチダイスケ
「だけ」とは言っていますが、それでも充実していたことを秋夕焼が肯定してくれるような。
十六夜やブラのたたみかた 検索 後藤麻衣子
一字スペース空けがとても効いています。こういうことあるな〜という共感と、ユーモアあふれる一句。
自句〈真円を描く練習小鳥来る〉にも、ありがたい感想をいただいておりとてもうれしく思っています。皆さま、ありがとうございます!
「句具ネプリ秋 2021 vol.03」のコンビニでの印刷および、データの無料ダウンロードは9月30日まで。気になるかたはぜひ、お手にとってみてください〜。
https://note.com/kugu/n/n3d72422e48cb
2021-09-18 |
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日記
引きこもり対策で取りいれたボールプール
車の後部座席に並んで座っているとき、あーちゃん(五歳になりました)が窓から外をずっと眺めている。
わたしが子どもの頃もそうだった。あまりに眺めていたからか、親に「外ばっか見とるね」と指摘された憶えがある。なにと答えたのか、はっきりとした記憶はないのだが、なぜ眺めていたのかは憶えている。車の窓から見える景色の絵を描きたかったからだ。それも見えるものぜんぶ。この感情は小学校入学時にいだいた、図書館の本をぜんぶ読みたい、というのにも似ている。そうやって、世界を手にいれたいと思っていた。
子どものわたしが車の窓から見える景色の絵を描くことはなかった。だが、描きたいと強烈に思っていたことを思いだしたのは、往復十分ほどの、園への送り迎えの運転中に見える景色から俳句を繰り返し作っていたときだった。あまり自分は子どもの頃と、変わっていないのかもしれない。
あーちゃんはリボンのように型抜きされた壁を見つけ、ふたりで「かわいいね」と言いあった。