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2022-02-03 | Blog, お知らせ, 俳句

二〇二一年自選十句

2021年自選十句の画像

二〇二一年自選十句 

うすらひといふくちうすくひらきつつ

クリムトの金剥がしをる春の夢

ひとつばたご言葉の先にある身体

桜桃や友になれさうだつた人

箱庭のなかでは木々の抱合へり

真円を描く練習小鳥来る

鳥籠に玩具の鳥や宵の秋

十月の海底めくやモノローグ

冬さうび性記されぬ主人公

寒林に本当のこと入れしづか


 昨年Twitterにて呟いた「自選十句」。2020年は自分で好きと思える句がそこまでなくて、自選五句だったから感慨ぶかい…。

 どことなく行き場がなくて未発表だった句(1句目)、結社誌に掲載された句、賞へ応募した句など、評価されたものもされてないものもあるが、好きな句を選んだ。

 きれいな字でもないのに手書きで書いたのは、年末でいつも俳句の画像を作ってくれる夫が忙しそうだったからだ。3回くらい書きなおした。

 こうやって振りかえってみると、友だちとの句会や勉強の場などのたのしい時間がいっしょに思いだされる。とてもありがたい。自分には結社で学ぶということも必要だが、友だちと共にやりたいことができるのもうれしい。今年も俳句をとおして、たのしいことがたくさんしたい。

2022-02-01 | Blog, お知らせ, 俳句, 書評

津川絵理子『夜の水平線』(ふらんす堂)十五句抄出

津川絵理子『夜の水平線』の表紙

 

 津川絵理子先生の句集『夜の水平線』(ふらんす堂)が第61回俳人協会賞を受賞されました。おめでとうございます! 俳人協会HP

 本書は絵理子先生(俳句結社『南風』に所属し師事しているため、こう呼ばせていただきます)の第3句集。2020年12月に発行されています。

 発行時、わたしはまだ句歴も半年ほどで、俳句結社「蒼海」に所属していました。絵理子先生の句に触れたきっかけは、結社誌に掲載されていた招待作品です。また、編集後記に千野千佳さんが「スランプになったときは津川絵理子さんの句集を読みます」という旨を書かれていたことがとても印象的で…自分も読んでみよう!と思ったのでした(ファンであるかたが『いいよ』と言われる本をわたしはすぐ買います)。

 幸運にもそのとき、Web上では在庫がないのに地元の書店で取り寄せができ、第1句集『和音』と第2句集『はじまりの樹』がまとまった『津川絵理子作品集 Ⅰ』(ふらんす堂文庫)もいっしょに入手できたのです。

 順番に読んでいくなかで、少しはずかしい話ですが、読めない漢字・知らない季語をすべて調べることを初めておこないました。どの句からも目が離せなくて、なにかを取りこぼすのが嫌だった。いっきに絵理子先生の句に夢中になり、もちろん影響はそれだけではないのですが、現在も自分は俳句をつづけている気がします。

 前置きが長くなりました。今年に入ってから、本書をノートに全句書き写してみたのですが(これもまたまた千佳さんの影響…!)、あらためて好きな句を抄出してみたいと思います。


 

断面のやうな貌から梟鳴く

近づいてくる秋の蚊のわらひごゑ

同じ味して七色のゼリーかな

たどりつくところが未来絵双六

止まり木に鳥の一日ヒヤシンス

タランチュラなめらかに来る夜長かな

鯉の吐く小石の音や雛祭

引力は血潮に及ぶ鏡餅

冬薔薇満場一致とはしづか

香水や土星にうすき氷の輪

水を飲む馬の眼張りぬ冬の山

吊られたる大筆売れし十二月

自転車とつながる腕夏はじめ

盆栽は鉢を出たがる柿日和

星飛んで巨きな墓に王ひとり


 現在、本書は再版の準備中だそうです。電子書籍版は、版元さんのシリーズで驚きの1100円で購入することもできます。

2022-01-27 | Blog, お知らせ, 俳句

俳句のアドベントカレンダー 2021(25句)

俳句のアドベントカレンダーの25句が載っている画像

俳句のアドベントカレンダー 2021

わたむしのふとわたしよりうまれゐづ

きしめんの幅ばらばらや冬麗

冬の日へ前髪のあるバレエダンサー

凍星をとほさぬやうに薬瓶

水槽の中ゆつくりと落葉かな

時雨るるやウルフの日記読みかへす

かはうそは睦びて光る冬の水

ほんたうとばかり言ふ癖冬の虹

石蕗の花姉のやうなる知己の増え

王さまに飼はれていたる通し鮎

ポインセチア歩いてゆける喫茶店

ほんたうは滅びたる国十二月

言ひ出しのこゑのつかへて冬木立

極月の入れ子に仕舞ふ食器かな

蝦蛄葉仙人掌空気の満ちてゐる人形

書き割りのごと寒菊とすれ違ふ

カピバラの指に水かき暮早し

冬ざれてスープカレーの漣す

思ひつくもの飾られし聖樹かな

ネタバレはしない約束冬の暮

日向ぼこ手にやはらかきインド綿

溶けのこる砂糖ざらりと冬菫

冬ばらのごと母斑ある腕かな

クリスマスイヴ即ち夫の誕生日

結末を知りて観る劇クリスマス


 2021年12月1日から25日のクリスマスまで、毎日1句Twitterで俳句をつぶやく「俳句のアドベントカレンダー」を行いました。

「俳句のアドベントカレンダー」は、一緒にネプリ「はるのもりばん」を作っている、箱森裕美さんが提案された企画です!

 最初は毎日できるかな?とも思いましたが、同じハッシュタグでつぶやかれてるみなさんの句を読むことが楽しくて、あっという間に過ぎていきました。

 Twitterでは「#俳句のアドベントカレンダー」「#俳句のアドベントカレンダー2021」のタグと、携帯で撮った画像を添えていました(一部、著作権フリーの画像も使用。わたしはピクサベイをよく利用しています)。

 気がついたら手元に25句ある…というのも、なかなかすごくて、 また来年もやってみたいです。読んでくださっていたかた、どうもありがとうございました!

2022-01-21 | Blog, お知らせ, 俳句, 書評

楠本奇蹄句集『おしやべり』を読みました。

楠本奇蹄さんの句集『おしやべり』の表紙写真

 楠本奇蹄さんの『おしやべり』は、第11回百年俳句賞最優秀賞を受賞した同タイトルの連作50句をまとめたミニ句集。賞の主催社が発行する雑誌「100年俳句計画」2022年1月号の付録として付いてくるものを手にいれました(現在、残念ですが品切れになっているようです…)。

 奇蹄さんは句集で作品が読みたいと個人的に思っている俳句作家さんのひとりで、本というかたちで読めたことがうれしいです。また、第12回北斗賞の准賞を受賞されたことも記憶にあたらしく、また句集を手にできるのもそう遠いことではないかも…?と思っています。本当におめでとうございます!!!

 本作は連作であり、隣りあう句のつながりも素晴らしいので、そこから取りだすのもどうなのとか、そもそも全部すきなので…という気持ちもありますが、特にすきな5句と稚拙ですが感想です。

聖五月ひつじにひかりひとつずつ

光あふれる初夏、しろい羊の群れがある。季語から神の子羊イエス・キリストや、「いけにえ」というイメージも導きだされ、光があるから生まれる翳りにも惹かれる一句。ひつじが自分も含め人間たちに思えてくる

脱いだ服ほどのはつねつ夏座敷

虹がはじまる家々をぬけがらにして

隣りあっている二句。「脱いだ服ほど」という比喩にまず惹かれ、開かれた「はつねつ」の軽やかさに夏座敷の重みという対比にどきりとする。脱いだ服とぬけがらの、つながりがあるようなイメージもすきで、古めかしい家々から飛びだしていったような物語性も感じる

小春日は梯子の翳の逃げたい日

冬の季語のなかではあかるい印象で、個人的に使いがちな季語「小春日」。でも、この後ろめたいような気持ち、なんだか「わかる」となる

白鳥は来ぬ虹彩の草臥れに

奇蹄さんの句には、季語(掲句だと白鳥という動物)と身体の境目がないような印象をいだくことが多いが、こちらもそう思った。「草臥れ」(くたびれ)という表記には、疲れたという意味以外にも、視覚的に訴えてくるものがある。目ではなく、虹彩という部分を取りだしている点もすき

2022-01-18 | Blog, お知らせ, 俳句

少女☆歌劇 レヴュースタァライト俳句 | きざはし(連作五句)

(2021.7発表)

短夜や奈落に落ちしままの釦

夏負けて獣の首の伸びにけり

朝ぐもり自動二輪車通り過ぐ

旱星抱擁のごと決闘す

きざはしは星祭へとつながれり


 2021年はたくさん俳句をつくった年でした。そのなかでも、Twitterのみで発表していた連作がいくつかあるので、季節はずれだったり今さら感もありますが、ブログでも記録しておきたいと思います。

 まずは昨年7月に発表した「少女☆歌劇 レヴュースタァライト」の二次創作俳句「きざはし」(連作五句)です。

少女☆歌劇 レヴュースタァライト」はミュージカルとアニメがお互いリンクしているという作品。演劇を学ぶ学校に通う生徒たちが、舞台のトップスタァを目指すという物語です(あまりにざっくりとした説明ですが…)。

「いいよ!」という友だちの影響で観てはまったのは、ミュージカルを原作とした全12話のアニメシリーズでした。上記の連作はアニメ版をイメージして作っています!

 もともと宝塚やウテナが好きなため、ハマる要素はあったかも…と思いつつ、何かをがんばっているかた、言葉で括ってしまいたくない大きな感情がすきなかたにぜひ観ていただきたいシリーズです。わたしは俳句をたくさん作らないといけないときなど、スタァライトの楽曲を聴いて自分を鼓舞しています。

 今年のはじめ、アニメの続編とスピンオフ、ふたつのミュージカルが視聴できる機会があったのですが、舞台版もすごーくよかったです。新しく登場したかたがたもみんな魅力的! とはいえ、いまだに劇場版が観られていないので、早急に観たいと思っています。

2022-01-15 | Blog, お知らせ, 俳句

俳句ネプリ「はるのもりばん」2号を発行しました!※印刷期間終了

 本日1月15日(土)、俳句ネプリ「はるのもりばん」2号を発行いたしました!各コンビニにあるプリントサービス機に、上記画像内の予約番号を入力してください。本日より22日(土)中までの期間限定で印刷していただけます。

 2号では「ホラー」をテーマに下記タイトルの俳句連作5句を発表しています。

 

「寄生性桃源郷」 春野温

「るるるゐる」 箱森裕美

「うづ」 ばんかおり

 …タイトルを読んだだけでゾクゾクしてきませんか? メンバー一同、あまり馴染みのないお題に挑戦してみました。1号とはまたがらりと違った世界を楽しんでいただけると思います!

 デザインは堀口文庫メンバーの堀口ともひと(design ib)です。今回はどんな見せ方がいいかな?ということも試行錯誤しました。

 ちなみに、わたしはホラーが苦手なほうでして、映画などの動画はほとんど観られません…。それでも唯一読むことができるのが漫画で、その中でも特にすきな伊藤潤二先生の作品からイメージして今回の連作を作りました(タイトルからバレバレですね…)。

「はるのもりばん」は毎号テーマカラーを決め、そのカラー1色を使いデザインしています。今回は「紫」。プリントサービス機の設定ではカラー・白黒、どちらでも選択可能です。 作品の世界観を味わえるカラー、お手軽に楽しめる白黒、ぜひお好みでお選びください!

ぜひぜひ、ご感想など #はるのもりばん のタグをつけSNS等でいただけますと嬉しいです!

◆「はるのもりばん」については、ぜひこちらの記事もお読みください! 1号のPDFデータがダウンロードできます

 

2022-01-12 | Blog, お知らせ, 俳句

俳句ネプリ「はるのもりばん」1号を公開します!

 2021年11月に発行しました、俳句ネットプリント「はるのもりばん」第1号をこのたびPDFデータにて公開いたします。

「はるのもりばん」は ” しなやかに、かろやかに、自由に ” をモットーに、春野温さん(Twitter)、箱森裕美さん(TwitterWebsite)と一緒に作品を発表する場所としてスタートしました。

 裕美さんが付けてくれた、3人の名前から取ったタイトルがとても気にいっています。めちゃくちゃかわいくないですか…? 第1号では、そのタイトルをテーマに連作5句を掲載。「はる」を裕美さん、「もり」をわたくし、「ばん」を温さんが担当しています(あみだくじで決めました)。ちなみに、堀口文庫メンバーである堀口ともひとがデザインを、似顔絵はばんかおりが描きました。

 たくさんの方にプリントをしていただき、感想のお言葉をTwitter等でいただきました。本当にありがとうございました!

 

 さて、今後も活動をつづけていく「はるのもりばん」ですが、1月15日(土)には「ホラー」をテーマにした第2号を発行します! メンバーそれぞれ、あまり馴染みのなかったお題に試行錯誤しました。ほんとうに怖いと思うので……皆さまどうぞご期待くださいませ。

 その前に、さいきん知っていただいた方や気になっていた方など、多くの方に第1号を読んでいただければと思い、データにて公開することにいたしました。こちらを読みながら、第2号を楽しみにお待ちいただけたらうれしいです!

◆「はるのもりばん」第1号PDFデータ:こちらよりダウンロードしてください

 

2021-12-09 | Blog, お知らせ, 俳句

「詩客」12月4日号に連作10句「いらつしやい」を寄稿しました。

 久しぶりの更新になりますが、また俳句に関するお知らせです。12月もどんどん過ぎていってしまいますねぇ…。

 このたび、短歌・俳句・自由詩の「三詩型交流企画」を行うwebマガジン「詩客」12月4日号にて、俳句作品「いらつしやい」を掲載していただきました。ほぼ新作(1句のみ既発表)で構成しました、連作10句です。

 小春日に告解室のごと遊具 他9句、作品はこちらよりどうぞ。お読みいただけるとうれしいです! ご感想などもぜひ教えてくださいませ。

 ありがたいことに、俳人の松本てふこさんに声をかけていただきました。こうやって寄稿をさせてもらうことは、初めてのことなのでとてもうれしかったです。もちろん、緊張もありましたが…! てふこさん、本当にありがとうございました。

2021-10-02 | Blog, お知らせ, 俳句

作品公開中!「第11回 百年俳句賞」に応募しました。※公開期間終了

合歓の花

「俳句のある生活」を提案する雑誌の発行などを行う、マルコボ. コムさんが開催する「百年俳句賞」にこのたび応募しました。

 こちらの賞のすごいところ、おそらく他の賞と大きく違うところは、選考前に全応募作品がホームページで公開されることです。 わたしは賞への応募じたいが初めてだったのですが、公開がスタートされてからこのすごさに気がつきました…!

全応募作品公開ページはこちら

ばんかおり応募作品「準備室」公開ページはこちら

 50句の連作が91作品ということで、ボリュームもすごいです。俳句の友だちや結社の先輩など、お見かけしたことのあるお名前がたくさんありぶるっと身震いしましたが、こうやって開かれた場所で作品を読んでいただけること、また自分も読者として読めることってなかなかない機会では?と思っています。お祭りみたいなわくわく感もありますよね。

 それでも正直どきどきしていたところ、Twitterのフォロワーさんにご感想をいただき感激しました。これも公開だからこそですね…とても励みになります。応募作品の公開は10月末までとのこと。ぜひお読みいただけるとうれしいです!

 そもそも挑戦したいと思えたのは賞に挑戦している友だちの影響であり、句会などで自分の句を読んでもらえたおかげで、句歴の浅いわたしでも連作を組むことができたのだと思いました。いつもありがとうございます! 結果はさておき、応募できただけでもかなりの達成感をあじわっています。

 

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