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2020-11-25 | Blog, お知らせ, 俳句, 日記

十一月二十四日(火) とりつみれくづれてふゆの鍋となる

 三連休がおわった。昼、めちゃくちゃ久しぶりに丸亀製麺へ夫と行く。空いている時間をねらって、早めに行ったのに混んでいてすこし驚いた。セルフサービスの葱を取ることを、なんとなくやめる。

 昨夜は腕の痛みが気になってきて眠れず、けっきょくロキソニンを飲んで寝たんやよね、という話を夫にしたら、「逆上がり禁止ね」と言われた。「急にする、ちょっとした動き」の危険性を説かれる。

 あーちゃんがいないことの解放感をあじわいつつ、一日というながい時間を、連休後すぐ幼稚園で過ごすことのできる彼女を、すごいと思う。さいきん、「なんでようちえんっていくの?」という質問をよくされるけれど、答えかたがむずかしい。そのつど応じてはいるものの、どこか釈然としないものを感じている。

 夕飯は簡単なものにしようと、鶏つみれの鍋をつくる。つみれの生地が柔らかすぎたのだろう。どんどん崩れて、出汁が白く濁ってしまったし、鍋底にも焦げついた(味は美味しかった)。鍋を煮ているあいだ、昨日の日記を書く。ほんとうは十月のことを、以前のように(『九月の日記』)書いておきたかったのだが、いま、記憶のあたらしいことを書かなければ、もう自分は日記を書かないかもしれない、という気がふとした。あたりまえすぎるのだけれど、頭のなかに書きたいことがあっても、書かれなかれば書いたことにならないのだ。書いてみて、やはり自分は「ただの日記」が好きなのだ、と思う。更新後、太田うさぎ『句集 また明日』(左右社)を読む。再読だが、胸が苦しくなるほど、好きな句ばかりである。

子どもが粘土でつくった猫など

 幼稚園から帰ってきたあとは、粘土あそびをすると決めていたあーちゃん。もくもくと型抜きをしては、型をとったあとの、へろへろした粘土のほうを見せてくれた。たしかに切り口が、きれいである。ひとまとめにして片づけるのを嫌がったので、できあがったものを夫がタッパーに入れていた。

 ふたりのお風呂を待っているあいだ、『名句に学ぶ俳句の骨法 (上)』(角川選書)を読む。

2020-11-24 | Blog, お知らせ, 日記

十一月二十三日(月)逆上がり禁止勤労感謝の日

公園にあった、一枚だけ紅くなっている紅葉

 起きたときから怠く、風邪がぶりかえしたような感じ。年賀状用の写真を撮りに、先週初めて行った公園(敷地がだだっ広く、写りこむ電線や建物がない!)へ再び行く予定だったが、変更して近所の公園(通称 : おうまちゃん)へ。

「さつえいはいや。みられるとはずかしいから!」というあーちゃんに、誰もいないよ〜と来たおうまちゃんだったが、思いのほか人がいた。二台設置されたブランコで、隣同士で遊んでいた親子のおかあさんと、「いつもここ、誰もいませんよね」「連休のさいごだから、みんなもう行くとこないんですよ」と会話する。

銀杏を持って、父に駆け寄る子ども

 幼稚園の授業では鉄棒があり、あーちゃんは逆上がりが怖いとよく言っているのだが、おうまちゃんの鉄棒で練習するという。ひょっとして、かあちゃんできるかも、と言えばもちろん「やってみて」とせがまれて、最後にいつしたかも憶えているわけのない、逆上がりを一回する。被っていたベレー帽が、まっすぐ落下した。案外できるものだ、と調子にのったのも束の間、腕が、肩が、痛みだす。そりゃそうだ。ふだんから身体をほとんど動かしてないし、体調もわるいのに。

子どもが、ねるねるねるねを食べていたところ。

 家にいると、あーちゃんは無限になにか食べようとする。夏ごろに買ってあった「ねるねるねるね」(ぶどう味)を、やっと開封。これを買った際に「ねるねるねるねは七文字!」と、よろこびいさんで俳句をつくったことを思いだし、あれこそが初期衝動だったのだ、と思う。でもべつに、まだ初期衝動でもいいのだよ、とも思う。あーちゃんから、ひと口貰ったねるねるねるねは、めちゃくちゃ酸っぱかった。

 夜になるにつれ、腕がどんどん痛くなってくる。本を読みながら、兼題のある投稿や、ネット句会に向けて作句。いつもより進んだ気がする。

読みおわった本 : 「角川俳句」2020年2月号

✳︎ 日記のタイトルを俳句にする試みをしてみます(いつまでつづくかは謎ですが……)。 本日は「勤労感謝の日」が冬の季語になっています

2020-11-18 | Blog, お知らせ, 俳句

「小説 野性時代」12月号「野性俳壇」佳作をいただきました。

クリスマスツリーの天辺に飾る星
わが家にある、ツリーの全長にたいして、大きすぎる天辺の星

しんしんとクロノスタシスして聖夜  かおり

 文芸誌「小説 野性時代」十二月号の俳句コーナー「野性俳壇」にて、長嶋有選・佳作をいただきました。兼題(あらかじめ出されたお題)は、冬の季語「クリスマス」でした。ありがとうございました!

 簡単に語句の説明です。「聖夜」が兼題「クリスマス」の傍題(クリスマスがメインだとしたら、そのサブ的な仲間の季語です)で、クリスマス・イヴにあたります。

「クロノスタシス」は時計の秒針が止まって見える現象のこと。

「野性俳壇」には以前、選外佳作として名前が掲載されたことがありましたが、自句の掲載は初めてでした。投稿の三ヶ月後に結果がでるからか、兼題の季節が前倒し気味なため(たしか八月ごろにクリスマス! )、難しさを感じていたので嬉しい……。季語が含んでいるものを、自分がちゃんと掴めているのかどうかは今後も課題です。


 過去の日記にも書いたことがあるのですが、もともと長嶋さんの小説ファンだったわたしは、ご本人に会える! ということもあり「飛騨マッハ」へ行ったのでした。そこで人生初句集『春のお辞儀』(ふらんす堂、現在は書肆侃侃房より新装版が販売中)を買ったわたしにとって、長嶋さんは俳句の「親鳥」のようなもの。採っていただけ、ほんとうに感激でした。

初版『春のお辞儀』
活版印刷でつくられた初版の『春のお辞儀』は、関わられているかたがめちゃ豪華な「しおり」付き。こちらも面白くて何回も読み返しています

 そういえば、「野性俳壇」が開始してすぐ(二〇一七年からみたいですね)、長嶋さん読んで欲しさに、二回ほど投句をしたことがありました。その頃は俳句のことをわかっていなくて、何もかんがえず無季の句を出していたような……。当然のように掲載はされず、自分に俳句は無理かもなぁ、なんてすぐ止めてしまっていたのです。

 そんな自分が、俳句にはまって投稿をどうにか続けていられるのは、句会をともにしている仲間がいるからかもしれないな、と思います。わたしにとってはですが、ひとりで続けるには、俳句は難しい文芸でした。結社に入ってみたかったのも、自然に仲間を求めて、という気持ちがあった気がします。今回は、そんなきっかけをくれた知人たちと一緒の掲載でもあり、喜びもまたひとしおでした。

(ばんかおり)

2020-11-17 | Blog, お知らせ

「ISHIFES2020」に参加&楽しんでまいりました!

 「いい石の日」である11月14日(土)。今年も開催された「ISHIFES2020」にオンライン出店していた堀口文庫ですが、当日は家族3人でリアルでも楽しんでまいりました。

ISHIFES会場に必ずいる人形
ISHIFES名物その1。毎年いる、この子が好き

 

 まずはメイン会場である、古民家スペース & カフェバー「空と月」さんへ。夫の提案で、われわれはRUN(今回のテーマは意志雄のRUN…でしたよね?)ではなく、30分ほどWALKしました(4歳児の歩幅を見誤っていた…)。

 ここから、次のサテライト会場へ向かう意志雄先生をお見送りをするはずが、ぜんぜん間に合いませんでした笑。

メイン会場へ向かう、父と子ども
てくてく。お天気もよく、散歩にはぴったりな日でした

 

「空と月」さん前にて、母と子ども
「空と月」さん前にて。三人ともコラボTシャツを着てました

ISHIFES名物である、最後尾の札
ISHIFES名物その2「最後尾パネル」

 初めて来訪した「空と月」さんにご挨拶をして、二階の物販コーナーへ。さっそく石ガチャです。今回は「きつめのやばい」…つまりはあの、鬼滅のネタがあるということで、あーちゃん(子ども)も楽しみにしていたのです。

物販コーナーのある二階の様子
座敷わらし

ガチャガチャを回しているところ
けっこう真剣…わたしは石ガチャ運ないほうです(何回まわしてきたかは、ちょっと数えたくない…)

石座2つと、通常版の石ガチャ
まさかの大・小「石座」(らしい)

 結果はこんな感じでした。「ねず子がほしい〜」と言っていたあーちゃん、ごめん! でも、ある意味では奇跡的ですよね…。まだ、鬼滅を最後まで履修できていないわたしたちは、だれなのかわからなかったのですが、意志雄先生によると「石座」とのこと。

百哉さん展

「空と月」の階段を降りる子ども

「空と月」で飲んだ限定ドリンク
バナナと黒ごまときなこで、石の色を忠実に再現した限定ドリンク。あーちゃんがぐびぐび飲んでた

 メイン会場を満喫したあと、われわれは岐南にある「ajara」さんへ! お目当ては同テナント内にある、テイクアウト専門店「お持ちかえり店 ajara」で限定販売される「いしお弁当」です。地元の野菜(じつは作っているかたも、お知り合いだったりします)をふんだんに使った、ajaraさんのメニューが大好きなのですが、これもぜったいに美味しいのは間違いない…!

意志雄先生のRUNを撮影しているところ
意志雄先生、到着?の瞬間

 無事、注文できたお弁当を待ちながら、意志雄先生を出待ち。朝から同行しているという名誉会長のカナコさんと、撮影を担当する実行委員長のコージーさんに会えちゃいました! リアルでおふたりに会うのが、ほんとうに久しぶりで…何だかそれだけで、しみじみ嬉しくなってしまうわたしでした。

ajaraでのライブ配信の撮影風景
食レポ中の意志雄先生

 そのまま、オーディエンスとして撮影風景を見させていただき、Instagramでのライブ配信にも、あーちゃんと一緒に少しだけお邪魔しました。みなさま、ありがとうございました!

 渾身の食レポを見ていたら、お腹が空いてすいて…。帰宅してから食べた「いしお弁当」、絶品でした。ajaraさんのお弁当はボリューム満点で、いろんなおかずを一度に楽しめるのが魅力。好物の里芋コロッケが入っていたのも嬉しかったです。また、食べたいな〜。

ajaraで限定販売された「いしお弁当」
3種類のおにぎりに、煮込みハンバーグ、野菜のおかずもたくさん!

 まだまだ、気になるサテライト会場はありましたが(ティダティダさんの蒸しパン食べたかった〜!)、往復1時間WALKの疲れもでてきたため、ここからはオンラインを中心に楽しませていただきました。こんな感じで、自分たちのペースで楽しめるのも、オンライン開催の良さでは?と思います。

 ちなみに、オンライン配信を見ているときのあーちゃんは、意志雄先生からも自分が見えていると思って照れていました。

ISHIFES2020コラボTシャツ

 オンライン会場(当オンラインストア)では、コラボアイテムをご注文いただき、誠にありがとうございました! 準備ができ次第、順次発送をさせていただいておりますので、もうしばらくお待ちいただけますと幸いです。

 なお、こちらは2021年11月13日までの限定販売となっております。見逃していたかた、今まさに石ロス中なかた、引き続きどうぞよろしくお願いします〜!

(ばんかおり)

2020-11-12 | Blog, お知らせ

「ISHIFES2019」をふりかえる。

 気がつけば、今週末はもう「ISHIFES2020」じゃないですか。毎年言ってますけど、早い。月日が経つのが早すぎる……!

 現状を鑑みて、オンラインを中心とした開催になった今回。堀口文庫はコラボアイテムを販売する、オンライン会場のひとつとして参加します。じつは出店側として参加するのは、初めてのこと。実店舗を持たないわたしたちにとって、このかたちで参加できるのは、けっこう嬉しいことだったりします。

 ISHIFES2020については、公式HPのこちらと……

 さいきんはめきめきと動画編集の才を発揮している、意志雄先生が制作したPV動画をぜひご覧ください! 先生凄いですよね、ほんとうに……。

 

ISHIFES2020コラボTシャツの着用画像

 コラボアイテムのTシャツはただいま、当オンラインストアにて販売中です。引きつづきご注文をいただいており、ほんとうにありがとうございます。とても嬉しくて、わたしのなかでは、もうISHIFES終わった……?みたいな、これがあの噂の気持ちなのか……?なんて、思ったりしています。

 ご注文をいただけたかたには、順次発送をさせていただいております。ご到着まで、どうぞ楽しみにお待ちくださいませ!

 さて、昨年開催された「ISHIFES2019」で、わたしはそれまでの会場であった「長月」スタッフとして、お客さまを受け入れる体験を初めてしました。そして、夫といっしょに漫画を投稿する、というかたちでも参加をして……とても思い出ぶかいです。楽しかったな〜。

 投稿した作品はこちらです。まずは、夫のホリグチトモヒト「四股名」。

ホリグチトモヒトによる、ISHIFES2019の参加作品
夫の作品は着物の柄にもこだわりが…。意志雄先生から金賞をいただきました!

 そして、ばんかおり「わたしは少女漫画家になりたかった」。

ばんかおりによる、ISHIFES2019の参加作品
わたしは銀賞。文字が多いよ!って、突っ込まれたのが何だか嬉しかったな〜

 4コマ目の意志雄先生、ベルばらのオスカルを参考にして描いたのも、いい思い出です。

 今回はやばめの石ガチャもあるみたいですね……そういえば、漫画ではなくて文章作品の新刊『プライドなんてポテトだけで十分だ』も、まだ読めてないので読まなければ。とにかく、自分から楽しんだもの勝ちなISHIFES、今回も楽しみましょう〜!

(ばんかおり) 

「岐阜美少女図鑑」23号のモデル撮影に行ってきました。

design ib の堀口です。

岐阜美少女図鑑の撮影風景
カメラマンはスギヤマオサム

design ib のお仕事「岐阜美少女図鑑」のデザイン

2号(2009年12月発行)から本誌のデザインを担当しております。
撮影の立会いでは、たまに「あの辺で撮ってみては?」とか言ったりしてます。

今回は、岐阜市・大垣市・可児市・関市・本巣郡などで撮影。
モデルたちは寒い中がんばっておりました。

岐阜美少女図鑑の撮影風景

岐阜美少女図鑑23号は、2020年12月20日発行予定です!

岐阜美少女図鑑Webサイト

2020-11-05 | Blog, お知らせ

堀口文庫オリジナル「長い本棚」Tシャツ販売中!

 みなさん、こんにちは。このところ、すっかり冷えこんできましたね。週末には立冬ですし、そろそろ秋もおわりかぁ……とすこし寂しくなっている、ばんかおりです。

ISHIFES2020 コラボ「猫一」Tシャツを着用している筆者

 先日のブログでお知らせしました、ISHIFES2020 コラボ「猫一」Tシャツにさっそくご注文をいただいています(現在、ご予約を受付中。11月9日から順次発送いたします)。本当にありがとうございます!

 夫がイラストとデザインを担当している、堀口文庫のオリジナルTシャツなのですが、じつはこちら以外にも、もう1柄あるのです。

長い本棚Tシャツのアップ写真

 それが「長い本棚」Tシャツ。

 当オンラインストアではすでに販売中でしたが、ちゃんと告知をしておらず、これまで知られざるアイテムになってました……!

 基本は自分たちが着たいものを作っているTシャツですが、こちらは夫が作ってくれた、わたしの部屋にある本棚が着想の元になっています。

Tシャツのモデルになった本棚

 文庫本専用にしている棚なのですが、ほんとうに長いです。ちなみにこの棚の向かいにも、本棚がそびえています(さいきん、また本が入りきらなくなってきました……)。

Tシャツの柄のアップ
高さが違ったり、傾いていたり……ちょっと整列していない本の柄です。

Tシャツの着用イメージ
着用イメージはこんな感じ。わたし(身長160センチ)はSサイズを愛用しています。

 

 色はホワイトのみ、柄はブラックでプリントされています。ユニセックスサイズでS〜XLまで展開していますよ。シンプルで合わせやすい1枚で、インナーとしてもおすすめ。本好きのかたに手に取っていただけたら、うれしいです!

 ただいま、今週末11月7日(土)〜21日(土)まで当オンラインストアでご使用いただける5%OFFクーポンを配布しております。

 お買い物の際は、必ずクーポンコード「shop120thx2」をご入力くださいね。ISHIFES2020 コラボ「猫一」、「長い本棚」Tシャツ以外にも、拙著「どこにもいかない、ここにある」(在庫がだいぶ少なくなってきました。増刷を検討中です)にもお使いいただけます。この機会にぜひご利用くださいませ。

(ばんかおり)

2020-10-23 | Blog, お知らせ, 雑記

「ISHIFES2020」オンライン出店で参加します。

石フェス2020の画像
クラウドファンディングのページはこちら

「ISHIFES2020」とは?

岐阜が誇る自称漫画家「石田意志雄」が毎年11月14日(いい石の日)に開催している奇祭「ISHIFES(石フェス)」。

今年は「リアルとオンラインを融合した新時代に対応したフェス」になるそうです。

詳しくはこちら

「ISHIFESスケジュール表」は必見。
新聞の番組欄風のデザインに縦読みぶっこんでます(笑)

ISHIFES2020 コラボ「猫一」Tシャツ、本日より予約販売開始!

さて、「オンライン出店」参加者に課されるのは「コラボ商品を作って販売」すること。

ということで、堀口文庫のロゴ「本を読む黒猫」を「本を読む猫一」にし、Tシャツをつくりました。期間限定(〜2021年11月13日)で販売いたします。

ご予約・ご購入はこちらから!

※11月9日から順次発送予定です。

ISHIFES2020 コラボ「猫一」Tシャツ

ISHIFES2020 コラボ「猫一」Tシャツ(キッズ)

猫一Tシャツを着てベンチで読書
猫一Tシャツ(Sサイズ)
猫一Tシャツのキッズサイズ
猫一Tシャツ(キッズ110サイズ)

「猫一」とは?

岐阜が誇る自称漫画家「石田意志雄」が飼っている奇猫「猫一(ねこいち)」。
背中の模様が「猫一」に見えることからその名がついた
のは後付けで、柳ケ瀬にあった洋食屋「キッチン・ねこ一」からとったのであろう。

猫一のイラスト
猫一のイラスト ※画像はこちらより無断転載

2020年11月14日(土)、お楽しみに!

2020-10-22 | Blog, お知らせ, 俳句

「世界」11月号「岩波俳句」佳作をいただきました。

2014年頃の夫
熊楠といえばキノコ。2014年頃の夫

夏まけの夫いくらか熊楠似  かおり

「世界」11月号(岩波書店)掲載「岩波俳句」にて、池田澄子選・佳作をいただきました。ありがとうございました!

「岩波俳句」へは、大ファンである選者の池田澄子さんに、自分の句を読んでもらいたい……!という一心で、投句を始めました。池田さんの〈じゃんけんで負けて蛍に生まれたの〉は、俳句に興味をもった六年ほどまえに出会い、ずっとだいすきな一句です。思いがけず、初掲載がかない感無量でした。


 季語は「夏まけ」で夏。漢字で書くと負け。「夏痩」の傍題になり、暑さにバテて痩せてしまう状態を表している。

 夫は顔が濃い。出身地はわたしとおなじで岐阜だが、とにかく濃い。顔の濃い有名人などをみると、夫のことを思いだす。出産後、一ヶ月ほど実家で過ごしていたとき、あまりの辛さとさびしさから、山田孝之の画像を必死に検索していたという、よくわからない思い出がある。

 学者である南方熊楠も、おそらくそうやって、夫と結びついていたのだと思う。

 夫は暑さに弱い。今年もしんどそうだった。粘菌学者であり、野山を駆けめぐっていた熊楠はきっと夏まけなどしないだろう、という勝手なイメージから、掲句ができた。できあがったあと、熊楠の顔写真を検索してみたら、思っていたより夫とは似ていなかった。

 この記事を書きながら、熊楠のことをいまいちど調べてみたら、多汗症のため夏は一糸まとわぬ姿で過ごしていたという記述があった(出典はウィキペディア)。夏があまり得意ではなさそうという点で、自分のイメージだった、似て非なるもの、というわけではなかったかもしれない。

 夫が登場するといえば、池田澄子さんの句で好きなものがある。自分もそんな気持ちで、夫にたいしているような、と思わされる。

定位置に夫と茶筒と家守かな

句集『空の庭』

 いつもそこに在ることの安心感。

屠蘇散や夫は他人なので好き

句集『いつしか人に生まれて』

 自分以外は他人である。だからこそ、ありがたくも感じられる。

木下闇ときどき亡夫がこちら見る

句集『此処』

 最新句集である『此処』(朔出版)には、亡くなられた夫君の句が収められる。言葉なく、じっと見つめかえす姿を思い、胸がぎゅうとなる。夫とはひとまわり近く年が離れているのだから、自分にもいつか、そんな夏が来る。

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