2021-09-18
二〇二一年九月十八日(土)
車の後部座席に並んで座っているとき、あーちゃん(五歳になりました)が窓から外をずっと眺めている。
わたしが子どもの頃もそうだった。あまりに眺めていたからか、親に「外ばっか見とるね」と指摘された憶えがある。なにと答えたのか、はっきりとした記憶はないのだが、なぜ眺めていたのかは憶えている。車の窓から見える景色の絵を描きたかったからだ。それも見えるものぜんぶ。この感情は小学校入学時にいだいた、図書館の本をぜんぶ読みたい、というのにも似ている。そうやって、世界を手にいれたいと思っていた。
子どものわたしが車の窓から見える景色の絵を描くことはなかった。だが、描きたいと強烈に思っていたことを思いだしたのは、往復十分ほどの、園への送り迎えの運転中に見える景色から俳句を繰り返し作っていたときだった。あまり自分は子どもの頃と、変わっていないのかもしれない。
あーちゃんはリボンのように型抜きされた壁を見つけ、ふたりで「かわいいね」と言いあった。
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