連作俳句「けものら」
けものら ばんかおり
どうぶつの森 ポケットキャンプで吟行
夏めくや架空の森で象と逢ふ
けものらと仲睦まじき麦の秋
揚羽蝶家具とかぜんぶあげませう
茄子植うる森棲む友の教えかな
短夜の釣果を熊に自慢せり
想像の夏砂浜たえず走ってる
夏の蝶森と浮世のあひだ飛び
草原や走れば消える夏の蝶
たそかれの紫の海さみだるる
あつまれどうぶつの森で吟行
島の夏いつも景色は淡き色
今月あたまに、とつじょ作りだした俳句。まず作りたかったのが、「どうぶつの森」にまつわる俳句だった。
こもる生活のなか、iPhoneですぐできるのもあって、なにか救いをもとめるように、「ポケ森」をはじめた。虫取り網を持ち、草原を走ったとき、虫はみんな逃げていったが、わたしのしたかったことは、これだった、と思った。
「どうぶつの森」には季節がある。わたしは娘とずーっと狭い庭にいて、生い茂る植え込みから、空を見ているばかりだったから、そのことがひとつ発見のように思えた。俳句の題材を求めて、名所などに出かけることを「吟行」という。思うように出かけられなくなったいま、「ポケ森」のなかをふらふらと歩きまわることも、吟行ではないかと思ったのだ(Twitterで検索したら、『ポケ森吟行』というタグがあったが、三年ほどまえの投稿がほとんどである)。
話題の「あつまれ どうぶつの森」には、夫が自分のSwitchで暮らしている。映像がきれいであこがれるのだが(色合いがなんだか淡い)、もともとゲームに親しんでいなかったため、ボタンの多さに躊躇している。ちなみにわたしの推しは、熊っぽい「ゆきみ」である。
俳句をはじめるきっかけとなった、句会ではこれらの句は封印した。もちろん未熟なのもあるし、傍で説明をしないといけない句、初心者なのに……というのもあった。入門書を読んで、「初心者は古語のほうがセンスのなさを隠せる」という文言を見つけ、あわてて古語に直すようなわたしなのだった。
俳句の世界は深淵だ。いつか、口語でいいな〜と思える句と、エモい句を作ることが目標です。