『どこにもいかない、ここにある』発行から1年経ちました。〜 ふりかえり編 〜
子育てが中心だった生活のあいまに、ブログで綴っていた日記をまとめた『どこにもいかない、ここにある』(自分で勝手に略して、” どこある “と呼んでいます)を発行し、先月で1年が経ちました。
あっというまのようにも、なんだかとても遠くのことのようにも思えてしまうのは、昨年からのコロナあれこれがあったり、日記に書かれていることじたいが二年以上もまえのことだったりするからですが……。それでも、とくに何者でもない自分(あとがきにもそう書いています)が本をつくり、必要としてくださる方のもとへお届けできたことは、ほんとうに奇跡のような体験で、わたしはそのことに支えられていると感じることが、いまでも日々のなかでよくあります。
『どこある』は、東京の書店「双子のライオン堂」さんと「H.A.B」さん(現在はオンラインストアのみ営業されています)、オープン間近だった日記の専門店「月日」さんの合同企画で開かれた、日記本の展示に参加したい! という気持ちにぐいぐいと背中を押され、はじめて作ったzine(個人で出版する本のこと)です。なんとか参加が叶った期間中は、友人をはじめ多くの方に手に取っていただけうれしかったです。ほんとうにありがとうございました! 本書はイベント終了後も、「月日」さんでお取扱いいただいています。
また同時に、自分でも本を販売できたらと、それまで個人的な制作を手伝ってくれていた夫といっしょに、このサイトをはじめました(在庫僅少ではありますが、現在もオンラインストアで販売中)。「堀口文庫」は、出版レーベルというとすこし大げさですが、お互いのすきなことをやっていこうという、ゆるやかで雑多なところもあるユニットです。
※取扱店舗さんですが、今年6月ごろまでの期間限定で「七月堂古書部」さんのオンラインストアでもお取り扱いいただいています! 近代詩伝道師のPippoさんが『どこある』を読んでくださり、イベントにてご自身のおすすめ本に選んでいただいたご縁です。詩に関する本が充実していますよ〜! わたしもオンラインストアでよくzineを購入してました。
昨年はみなさんも、ほんとうに大変だったと思うのですが、やはりわたしも思うようにはいかなくて、「堀口文庫」の活動ものんびりしたものになりました。東京でのイベント以降は、夫婦ともに仲よくさせていただいている、岐阜市長良の「トロンチ」さんでサイン会を開催させていただきましたが、時期としてはぎりぎりでした。 久しぶりの再会もあってうれしかったなぁ。
ブログ記事 : なつかしい写真がちらほら「3/21【即売&サイン会】| TRONCHIにて開催!」、開催後レポート「【即売&サイン会】ありがとうございました!」
緊急事態宣言が発令され、幼稚園が休園になった娘とずっと家にいた三ヶ月間は、まるで『どこある』に書かれているようなドタバタや、じわじわした焦りが戻ってきたような毎日でした。正直、いろんなことが「わからない」と感じる日々。育児に悩みまくっていた過去の自分より、すこしは進化できたような気持ちになっていたけれど、それはただ、幼稚園というシステムのおかげだったのかもしれない、脆いものだったと思えてきたりしました。
やはり、いちばん感激したのは、手に取ってくださった方からご感想をいただいたことです。自分のために書きはじめた日記は、当初そのつもりはなくても、どうしても育児日記になっていったり、内心は憧れていた読書日記を書いてみたかったけれど、そうなりきることも全然できなかったりと、ジャンルを形容しがたいところがあります。それでも、本にしようと思えたのは、ブログ時代からご感想をいただいていたことが、心の支えになっていたからでした。
手書きでのお手紙やSNSでの投稿、メールでのご感想を読ませていただくたび、つらかった日々が救われていくような、そんな気持ちになり、胸が熱くなったことを思いだします。わたし自身、もともと人見知りなところがあり、感想を伝えることは得意なほうではなかったのですが、この経験を機に「すき」と思ったことは著者の方に伝えたい! と思うようになりました(まだ自分は伝え足りないなぁ、と思うことも多々ありますが)。ごいっしょに、娘の ” あーちゃん ” を見守ってくださったみなさま、ほんとうにありがとうございました。
なかでも、夜泣きについて書いたこと(そのつど、ある食べ物を与えていたこと)のご感想をよくいただきました。 わたしたちも、いまは思い出として笑っています……! 子育てをしている方に共感したと言っていただけるのはもちろん、お子さんのいらっしゃらない方にもたのしんでいただけたことも、ほんとうにうれしいことでした。個人的には、さんざん挫折したりさぼったりしていた、会社員時代のことを書いた日記、現在の自分にちかいと思える、いちばん最後の頁に掲載した日記が気にいっています。
俳句という形式にも出会い、以前よりも創作と向きあえるようになったいま、自身も変わりつづけていますが、わたしは『どこある』で書いた日々のつづきにいます(変わっていないのは、いまだにママ友がいないこと)。だらだらと1年間をふりかえってまいりましたが、次回は本書タイトルの由来にも触れている、「あとがき」を掲載予定です。もうしばらく、おつきあいいただけるとうれしいです!
(ばんかおり)